養豚プロジェクト
モザンビークに住んでいた間ずっと、今でも
早朝に電話が鳴るたびにドキっとします。
早朝に電話がなるのは何かが昨夜に起こって
その報告の場合が多いからです。
泥棒、強盗に入られたとき、誰かが亡くなってしまったときなど
早朝の電話で報告を受ける場合が多いです。
今回も早朝にモザンビークから連絡が入り、
心配しながら電話をかけ直すと、
豚たちが夜中に毒殺されてしまいました。
20匹いた豚たちのほとんどが殺されてしまいました。
数人組の男たちが餌の中に混ぜた毒で豚を殺してから
運びだそうとしていて、見張りの男性が起きて外に向かって
大声を出すと逃げていったそうです。
近所の人たちに助けを求めて
まだ息のある豚たちに無理やり塩水を飲ませて吐かせて、
また強盗たちが戻ってこないように
外で焚き火をして朝まで過ごしてくれたそうです。
同じ強盗たちだと思いますが、
その日の夜、豚小屋の近所の4軒の家に
強盗に入ろうとしてそれぞれの家主に気づかれて失敗して
最後に入った家で家のドアだけ盗んで逃げて行ったそうです。
ここ最近、家畜を奪われる被害が近くの集落、村で頻発していて
多くの家畜が殺されて盗まれてしまっていたようです。
たった一晩で20匹ものヤギを奪われてしまった人、
警察官の住む家の庭にある豚小屋ですら強盗たちがやってきたそうです。
現地でもとても貧しい暮らしをしながら
子供や孫を一人で育てている女性たちの少しでも収入になるように、
2015年から2匹の豚たちから始めさせていただき、
時々売ったりして
少しずつ増やしていった豚たち、
ルーシアさんたちとも話合った結果、
またいつ強盗がやってくるかわからない、
見張りの人の安全も考えて
継続することは難しいのではと考えております。
とても残念で心から申し訳なく思います。
協会のスタッフと、前に泥棒や強盗について話していたときの
ことを思い出しました。
旦那さんを亡くして数人の子供たちを一人で
育てているフィロメーナさんが
「この協会で働かせてもらえる前は、
赤ちゃんを背中に背負って、
他の子供たちと一生懸命毎日畑をくわで耕して、やっと収穫ってなった時に
全てを盗まれてしまうことが続いてもう絶望しかなかった。
いくら努力しても、たった一晩で誰かに全てを奪われてしまうのは
本当に辛い。」
マニュエルも
「この地区に住むうちらは、
毎晩、毎晩、今夜こそ強盗が自分の家にやってくるかもと
びくびくしながら暮らしているよ。ナタを枕元に置いて寝て、
もしものときは戦って
そして神に祈るしかそれしかできないよ。」と。
「物だけで、命まで奪われなければそれで良かったと思わなければ」と
よくみんなが言っていたことも思い出しました。
安全のない暮らしに住む人たちの辛さ、
安全のある暮らしありがたさ
なんだかいつも考えさせられます。
写真
ルーシアさんたちが送ってくれた証拠写真。
残されていた毒入りの餌と
強盗たちが逃げていくときに
脱げたらしい運動靴。。。
殺された豚たちの写真も送ってきて
とても悲しかったです。
養豚プロジェクト成功することができず
本当に申し訳なく思います。