サントのこと。
2013年は、協会の子供たちが誰も亡くなることの
なかった初めての年でとても喜んでいました。
私はこのままずっと協会の子供たちは誰も
亡くなることはないかもしれないと思いあがっていたように思います。
1月の終わりに首都のマプトから帰ってきて、
その日からすぐに協会の勉強小屋の仕事に取り掛かりました。
少しでも協会の勉強小屋を作るのに、お金を浮かせるために
協会の女性たちが必要な
土を運んでくれていてお昼休憩のときに、
その中の1人の女性、アナさんが話したいことがあると言って
一緒に火をくべてある場所に座りました。
アナさんは、足に奇形があって、
びっこを引きづりながらも歩いて片道2時間はかかるところから
勉強小屋の勉強会や協会の畑で仕事をしていました。
彼女は6人子供を産んで、3人の子供もう亡くしていて
残った3人を育てています。
そしてもう一人、男の子を引き取っていて一緒に育てていました。
その男の子(サント)15歳ぐらいの子で、お父さんを亡くしお母さんと
暮らしていましたが、足に障がいと知的障がいを持っていました。
お母さんが暴行を加えたり、食べ物を与えず、
がりがりに痩せてしまっていて、アナさんが不憫に思って引き取り、
彼女の家で何年か暮らしていました。
サントも勉強小屋に障がいのある足で歩いて片道2時間かけて通ってきていて、
純粋な子でいつも笑顔でいました。
少し前に、サントのお母さんがアナさんの家に突然現れ、
サントを連れて帰るといい、
サントは泣いて嫌がり、それでも無理やり連れて帰ってしまって
アナさんは心配していて、
それから少ししてサントが死んだと連絡が来たといいました。
サント、実のお母さんに連れて行かれる前に
「連れて帰えられたらまた食べるものがなくて、
死んじゃうかもしれないから帰りたくない。」と泣きながら言っていたそうです。
サントは病院に連れて行ってもらったわけではなく
家で亡くなってしまって一体なんで死んでしまったのか
誰もわからないまま土葬されたと聞き呆然としました。
どうかサントが今は安らかに
飢えに苦しまず、
小さい頃に亡くなったお父さんと一緒に
心地の良い場所にいてくれたらと思うと同時に
彼の短く辛いことが多かったように思う人生を思うと
胸が痛くなります。
写真
頑張って勉強小屋でみんなと勉強していたサント