アシャンテママの教室に数年前から、住んでいる家から近道をするために獣道みたいな道を通って往復3時間近くかけて通っている子がいました。(教室の帰りは危険をさけるためにスタッフがバイクでできる限り家まで送ってあげていました。)
この子は年齢の割に体は小さく、病気がちで、皮膚にできた傷もなかなか治らず。それを聞いて、何度も病院に連れて行ってもらったのですが、HIV検査対象にはならず、処方された薬(抗生物質)を飲んでも治らないと。
昨年、この子のほぼ音信不通状態だった父親が亡くなったと連絡がきて、それから1か月も経たないうちに今度は母親を亡くしてしまいました。特に両親を亡くしている子供たちの中には、HIVに感染している子供たちも多いので、これ以上検査を先延ばしにしてはいけないと思いました。
ご両親が亡くなってもすぐに食料確保のため 遠くの奥地に戻り畑を耕して生活していると聞いて、携帯電話などもちろん持っていないので、スタッフが家を何回か訪問し、近所の人たちにこの子の帰りを待っている旨を伝えてもらいました。
次、この子が町に戻ってきたら、必ずすぐにルーシアさん(現地スタッフ)に「病院に付き添ってもらおう。HIVの検査をしてもらってしっかり診察してもらおう」と思っていました。
何らかの判断で無料でできるはずのHIV検査をむげに断られたら、他の少し離れた病院には、医療学校の時の元クラスメートが勤務しているので、彼が外来の診察担当しているときに時間を合わせて診察に行ってもらおうと思っていました。
何か月も待っていて、やっと彼が奥地から戻り、アシャンテママの教室に顔を出してくれました。
ルーシアさんが彼を育てている年老いたおばあさんを訪れてお話し、病院に代わりに連れていくこと、検査をする許可をもらい、日にちを約束して後日病院に連れて行きました。
偶然、この日この病院で私の知り合いが外来診察担当をしていて診察をしてくれたとのことでした。
以前、HIVに感染してしまった他のアシャンテママの子供の診察に付き添った時に、ルーシアさんを彼に紹介したことがあったので、彼もルーシアさんを覚えてくれていました。
診察の際、ルーシアさんの話をしっかり聞いてくれ、HIV検査も、診断結果もしっかり伝えてくれたとのことでした。
嬉しいことに疑っていたHIV検査は陰性で、もう一つ心配していた欠乏症、壊血病の診断がおりました。
※壊血病とは、現代の日本にはほとんどないとのことですが、15、6世紀の大航海時代に多くの人が船上で亡くなり恐れられていた病気で、長期にわたるビタミンC欠乏が原因。コラーゲンの生成機能をビタミンC欠乏によって失ってしまい、血管の壁がもろくなり体のあちこちで出血が生じ最後には亡くなってしまう人もいる。
この子と電話で私も話した時に、「昨日は何食べた?」と話の途中でさりげなく聞くと、うまく答えられず。。
スタッフにこの子をバイクで送っていくついでに一緒に暮らしている年老いたおばあさんに話を聞いてもらうと、この子の母親が亡くなってしまってから(父親は元々ほぼ音信不通状態だった)一生懸命畑を耕しても十分に食べる物がなくますます苦しくなってしまった。食べ物がないときは無理やりそのまま眠りにつくと。。
主食のトウモロコシの粉、食用油、干し魚、砂糖、果物を渡しました。合計約900円分です。こういったどうしても苦しい状態のご家庭には、今後も継続して食糧支援をしていきたいと思います。
いつもご支援本当にありがとうございます。
【写真】小学校もアシャンテママの教室も昨年3月からずっと休校ですが、配布しているプリントを頑張って続けている子供たち。そして最後の一枚はお米を受け取った女の子。